マイケル・サンデルの「これからの正義の話をしよう」の中で引用されていた(p.337)、ロバート・F・ケネディの1968年のスピーチがとても印象深い(※当時ケネディは民主党の大統領候補指名を目指していた)。それからすでに40年以上も経っているが、「満足の欠乏」との闘いの決着はまだ見えない。
<中略> 物質的欠乏をなくすため行動するにしても、より大きな課題がある。それは、満足の欠乏との闘いだ <中略> われわれはみな、そのために苦しんでいる。
<中略>
アメリカのGNP(国民総生産)はいまや年間8000億ドルを超えている。だが、そのGNPの内訳には、大気汚染、タバコの広告、高速道路から多数の遺体を撤去するための救急車も含まれる。玄関のドアに付ける特製の錠と、それを破る人たちの入る監獄も含まれる。セコイアの伐採、節操なく広がる都市によって失われる自然の驚異も含まれる。ナパーム弾、核弾頭、都市の暴動で警察が出動させる装甲車も含まれる。それに・・・子供たちにおもちゃを売るために暴力を美化するテレビ番組も含まれる。それなのに、GNPには子供の健康、教育の質、遊びの喜びの向上は関係しない。詩の美しさ、結婚の強さ、市民の論争の知性、公務員の品位は含まれない。われわれの機知も勇気も、知恵も学識も、思いやりも国への献身も、評価されない。要するに、GNPが評価するのは、生き甲斐のある人生をつくるもの以外のすべてだ。そして、GNPはアメリカのすべてをわれわれに教えるが、アメリカ人であることを誇りに思う理由だけは、教えてくれない。




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Statement on the Assassination of Martin Luther King
Senator Robert F. Kennedy
Indianapolis, Indiana
April 4, 1968
(Text from news release version)
Listen to this Statement on the Assassination of Martin Luther King
ボビ―の名で愛されたRobert F. Kennedyは、大統領選に出馬して、兄John F. Kenneyと同じく暗殺されました。アンバサダーホテルの前での最期、ダラスのパレード中の兄の最期―その二つの映像はいつも重なって私の脳裏に浮かぶのです。キューバ危機に際しては、大統領と司法長官の立場で呼吸を合わせた兄弟。しかし、アーリントン墓地に眠る2人の墓を巡ると、兄夫妻の墓は対面する就任演説と同じく立派な石碑に刻まれ、左手に回ると、白い木の十字架に刻まれた弟の名は掌に余るほどの小ささに愕然となります。そしてキング牧師暗殺のボビ―の弔辞を知る人は本当に少ないと思います。抜粋を拙訳で紹介します。
私は、わが同胞の方々に、また世界中の平和を愛する人々に悪い知らせを届けることになりました。Martin Luther Kingが今夜、射殺されたという知らせを。
Martin Luther Kingは彼の愛する人々のために、愛と正義が実現することに全生涯を捧げました。そしてその努力故に死んだのです。
黒人の方々、このような行為ゆえに全白人に対する憎悪と不信が奔流となって吹き出しそうな方々に対して、私は自分の心の中に同じ感情があるとしか言えません。私も家族の一人を殺されました。しかも、彼は白人によって殺されました。しかし、私たちは、アメリカ合衆国において、一つの努力をしなければならないのです。このような難しい時代にこそ、黒人白人の差を乗り越えて、お互いが理解しあう努力をしなければならないのです。
私の好きな詩人アイスキュロスは書いています。「深い眠りの中でも、痛みが一滴一滴と心に降り注ぐ。深い眠りも忘却を妨げることは出来ない。己の絶望の最中に、己の意思に逆らって、神の目覚ましい恵みを通して英知が訪れるまで。」
アメリカ合衆国に今必要なものは、分裂ではない。アメリカ合衆国に今必要なものは、憎しみではない。アメリカ合衆国に今必要なものは、暴力と無法ではない。必要なものは、お互いの愛と叡智と思いやりであり、白人であろうと黒人であろうと、その別なく、わが国において苦しみ悩む人々への正義への熱い思いであります。
出典はtakadaさんのご紹介されたサイトです。音声でも聞くことができます。